抄録
ビリルビンは血清中のアルブミンと強く結合しており種々の吸着剤を用いても血液中から除去することが難しい。そこで新しくビリルビンに対するモノクローナル抗体を作製しそれを吸着剤として血液中のビリルビンを除去する方法を試みた。ハイブリドーマの中から非抱合型、抱合型ビリルビンどちらにも強い親和性を示す24G7というクローンを選び、そのIgGをCNBr-Sepharoseに固定化して吸着剤を作製した。この吸着剤はアルブミンの存在下でも非抱合型、抱合型ビリルビンともに強い親和性を示し、黄疸血清中のビリルビンを効果的に除去することができた。ホルモンや胆汁酸などの非特異的な吸着はほとんどみられなかった。モノクローナル抗体の技術によって低分子量の物質に対する均一で大量の抗体を得ることが可能になったのでこの方法は他の毒素や薬剤など血清中のタンパクと強く結合している物質の選択的除去に広く応用できると考えられた。