1989 年 18 巻 1 号 p. 19-23
アセチルコリン(ACh)受容体αサブユニットの中で重症筋無力症の病態と重要な関わりを持つとされるACh結合部領域を特定し, その領域(α 183~200)の合成ペプチドを抗原として動物モデルの作出と患者血液中の抗体の検出を行なった。これらの結果を踏まえ, 重症筋無力症患者の抗原特異的治療を試みた。この合成ペプチドに対する高い抗体価を示す2症例について, 合成ペプチド固定化吸着剤を用い, 血液処理を2日連続で行なった。本療法によって対応する抗ペプチド抗体は特異的に減少し, 神経筋伝達の電気生理学的指標による評価で, 筋無力症状態の改善がみられた。