人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
抗AFP抗体を用いたtargetting chemotherapyの検討
特に全血交換併用の意義について
丹野 弘晃浅沼 義博面川 進小山 研二菊池 淳大内 清昭
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 18 巻 1 号 p. 28-31

詳細
抄録
AFP産生性ラット腹水肝癌AH66とAFP結合ビーズ(AFP-B)を用いて、放射標識抗AFP抗体の両者への集積と血中AFP濃度の影響について検討した。抗体投与5日後のシンチグラムにおいて、AFP―Bへの明瞭な集積像が認められたが腫瘍部へは集積しなかった。AFP―Bの組織集積度を組織血液比で比較すると、血中AFP高値の担癌ラットでは6.66±1.67であるのに対し、正常ラットでは17.43±5.55と有意に高い集積を示した。担癌ラットに全血交換を施行し血中AFPを低下させると、AFP―Bへの抗体集積度は11.20±0.25と増大した。抗AFP抗体の腫瘍への集積は認められなかった。以上より、AFPの如く、細胞表面に存在せず血中に分泌する抗原は、抗体を用いた画像診断やtargetting chemotherapyに適さないと考えられた。しかし、癌細胞表面に存在する抗原に対しては、全血交換にて血中抗原量を低下させることにより、投与抗体の癌部への集積を増大させることが可能で、画像診断及び治療上有意義である。
著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top