人工臓器
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ネオレッドセルの酸素運搬能制御
坂口 圭介後藤 彰久宮内 雄二鈴木 一比好沢本 二郎高橋 晃大野 弘幸土田 英俊
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1989 年 18 巻 1 号 p. 369-372

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抄録
ネオレッドセル(NRC)はストローマフリーヘモグロビン(SFH)をアロステリックエフェクターと共にリボソーム化した人工酸素運搬体である。アロステリックエフェクターであるイノシットヘキサリン酸(IHP)のNRCへの適正添加量を家兎高度血液交換モデルを用いて検討した。
IHP無添加NRCではP50値はSFHと同レベルであり、末梢組織への酸素供給が不十分で、個体は16~18時間で死亡した。一方、ヘモグロビン(Hb)に対するモル比が0.5~1.5のIHPを添加し調製したNRCを投与した個体は24時間生存し、血中乳酸量は投与後すぐに、また体温、血液PH、PvO2は徐々に回復し、動脈圧、尿量も安定しており、IHP添加NRCは赤血球に近い酸素運搬能を示した。しかしIHP添加モル比1.5のNRCではCaイオンの取り込みが認められた。以上よりNRCへのIHP添加量は0.5~1.0(モル比、[IHP]/[Hb])が適正と思われた。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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