抄録
医用材料が, 好中球に及ぼす影響について, ルミノールの化学発光を用いて検討した。医用材料としては, PMMA, セルロース, PEO(ポリエチレンオキサイドの側鎖をもつ共重合体)の膜を用いた。膜は素材だけでなく, 血漿蛋白質(血漿, アルブミン, γーグロブリン)で処理したものも用いた。好中球が膜と接触した時に, 細胞外に放出された活性酸素はルミノール溶液で, 食胞に放出された活性酸素はルミノール結合微粒子で測定した。活性酸素放出量は, 材料の種類及び血漿蛋白質処理によって大きく変化した。その際, ルミノール溶液とルミノール結合微粒子による測定結果は, 逆の傾向を示した。ルミノール溶液とルミノール結合微粒子による好中球の活性酸素放出測定は, それぞれ異なった情報を与えるので医用材料の生体適合性評価に役立つと考える。