人工臓器
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血小板活性化材料に関する研究
―非特異的活性化の本質は何か―
須田 匡戸辺 成四郎赤池 敏宏
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1989 年 18 巻 1 号 p. 67-70

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抄録

血小板は血栓形成ばかりでなく、多くの増殖因子を放出することにより組織修復や細胞増殖にも重要な役割を担っていることから、材料設計によって活性化を制御出来れば細胞培養工学等へ応用が期待される。しかし血小板の特異的活性化と高分子材料による非特異的活性化との相違についてはほとんど研究されていない。本研究では、特異的相互作用サイトとしてArg-Gly-Asp-Ser (RGDS) レセプターに、非特異的相互作用サイトとしてシアル酸に注目し、カチオンポリマーとの相互作用における両者の役割を検討した。ポリマーに対する血小板の応答にRGDSレセプターは関与していなかった。シアル酸脱離50%以上で接着率が低下し、カチオンポリマーへの接着には数個のシアル酸が共同で働いていると考えられた。このことから、血小板とカチオンポリマーとの相互作用は特異的相互作用サイトの働きによるものでなく、シアル酸との非特異的な相互作用によるものと考えられた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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