1989 年 18 巻 2 号 p. 1034-1037
拍動流体外循環は、定常流に比べて生体に有利であることが多数報告されている。しかし、拍動流ポンプを用いた内部および外部灌流型人工肺のガス交換特性については、いまだ十分に解明されていない。我々は、牛血液を用いたin vitro実験を行い、拍動流が灌流方式の異なる人工肺に与えるガス交換能の影響を比較検討した。さらに外部灌流型人工肺において、モジュール内の部位によるガス交換能の差異を検討するため、有効膜面積を変化させガス交換能を比較検討した。その結果、拍動流では、灌流方式の違いによらず、定常流よりもガス移動量が増加した。とくに、内部灌流においてその差が大きかった。これは、拍動流により液に乱れが生じ液側境膜を効果的にはがしたためと考えた。モジュールの外縁部の方が中心部よりガス交換能に優れていた。これは、モジュール内において偏流が生じており、外縁部を中心に流れているためと考えた。