抄録
当教室において施行した右心補助人工心臓(RVAD)と大動脈内バルーンパンピング(IABP)による6例の両心補助症例からRVADの運用について検討した。両心補助を行った6症例共に補助循環から離脱し、3例(50%)の長期生存を得ることができた。RVADの適用には症例による適応基準を循環動態による適応基準と共に設け、二次的三尖弁閉鎖不全を伴う心疾患で病悩期間が長く著しい心拡大がある、心臓悪液質等の患者では右心不全優勢型両心不全と考え人工心肺の復温時に右心系にRVAD、左心系にIABPを装着し、人工心肺からの離脱を試みて困難と判断すれば直ちに補助循環を行った。RVADの離脱はcatecholamineが減量されていることを前提とし、ポンプのon/offテストによる循環動態の基準を満たすと共にon/off時の血液酸素分圧較差の減少、off時の混合静脈血酸素飽和度70%以上等の血液ガス分析値を参考とした、しかし離脱後も心不全が遷延する症例が多く離脱基準は更に検討する必要があると考えられた。