1989 年 18 巻 2 号 p. 702-705
人工弁機能異常の早期発見を目的に、人工弁閉鎖音の波形分析及び周波数スペクトル分析の、基礎的検討を行った。対象弁は、SJM弁・Duromedics弁・Björk―Shiley弁とした。弁を人工心臓を含む水流回路に組み込み、空中に固定した音響用マイクロホンで、弁閉鎖音を集録した。その音を、マイクロコンピューターを用いて分析した。波形分析では、各弁に特徴的な波形パターンが認められた。周波数分析では、各弁に特徴的なパターンが認められたが、弁の駆動条件の変化により、周波数スペクトルが変化する弁もあった。具体的には、拍動数を増加させるにつれて、最初のピークをつくる周波数が高くなった。しかし、将来的には、駆動条件などを考慮した波形分析・周波数スペクトル分析を行えば、有力な人工弁機能異常の早期発見法になると考えられた。