1989 年 18 巻 2 号 p. 706-709
本研究では、大動脈構造と関連して人工弁の装着方向(VO, Valve Orientation)に依存した血流動態と乱流特性の変化を検討すべく、きつい曲がりと3本の主要血管分枝を有する大動脈弓モデルを使用し、レーザードップラ流速計によって拍動流下での流速分布および乱流特性の計測を行った。BSS弁とSJM弁による乱流特性と、人工弁のエネルギー損失や有効開口面積を比較検討し、総合的に流路構i造とVOに依存する人工弁の流体力学的特性を評価するとBSS弁では弁のMajor Orificeが大動脈のOuter Curve側に位置するOCO、SJM弁では2葉が大動脈のOuter CurveとInner Curveに対して直角方向に開放するVOが最適装着方向である。BSS弁による最大乱流強度は弁直上部から大動脈弓頭頂部にかけて発生し、ICOで約58cm/s、SJM弁ではOR1で弁直上部に約43cm/sが観測された。