人工臓器
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大動脈弁位血栓Björk-Shiley弁4例の検討
益子 健男松井 道彦堀越 茂樹佐々木 達海宮沢 総介古川 仁森田 紀代造鈴木 和彦若林 研司小柳 勝司新井 達太
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1989 年 18 巻 2 号 p. 809-812

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抄録
重篤な合併症である人工弁機能不全を引き起こす血栓弁の発生は大動脈弁位の場合、抗凝固療法下では極めて稀であるといわれている。しかしながら、われわれは過去15年間に246個のBjörk-Shiley (B-S) spherical, monostrut type弁を使用した大動脈弁置換術を施行し4例に血栓弁の発生をみた。4例いずれも女性で生理出血に対して抗凝固療法を緩和したことが血栓弁発生の最大の原因と考えられた。再手術は全例、血栓除去およびパンヌス切除術を行い弁の開放方向は1800転換させた位置とした。1例を術後3ケ月目に縦隔炎による偽性大動脈瘤破裂で失ったが他の3例は再手術後5年2ケ月、3年3ケ月、7ケ月を経過しているが順調である。これらの経験から今後は人工弁置換術後の女性例に対しては婦人科的治療を積極的に行い安易に抗凝固剤を減量することなく管理すべきであると考えられた。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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