抄録
人工弁に生じる血栓は, 血小板の関与が重要視され, 抗血小板剤が併用投与されるようになってきた。しかし血小板機能評価に確実な指標はなく, 投与量のコントロールに, 簡便で確実な評価法が望まれている。今回我々は精密で再現性の良い凝固過程解析装置であるSonoclot Coagulation Analyzer (Sonoclot)を用い人工弁置換患者の血小板機能を検討した。
血小板機能は術後第1病日には術前と同程度に回復し, 早期の抗血小板剤の投与の必要性が示唆された。SonoclotのShoulder-peak時間から, 抗血小板剤の有効性が示され, 凝集能, 粘着能が抑制された症例でもSonoclot検査で血小板機能の抑制が不確実な症例もあり, 抗血小板剤の増量, アスピリンの併用等を考慮される症例も認められ, Sonoclotは簡便で抗血小板療法の指標となることが示唆された。