人工臓器
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心内膜電極の感染を契機に敗血症に移行した症例の検討
寺田 康高木 洋行下山 嘉章井野 隆史
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1989 年 18 巻 2 号 p. 862-867

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抄録
慢性期の抜去困難な心内膜電極に感染をきたし, 敗血症へ移行した3例を経験した。【症例1】三弁置換術後で, 感染した心内膜電極の他に人工弁があり, 人工弁感染を引き起こしている可能性も否定できず内科的治療中である。【症例2】感染した遺残心内膜電極を静脈内へ落し込んだが, 術後一過性の敗血症を経過し抗生剤投与により治癒した。【症例3】感染した遺残心内膜電極を静脈内へ落し込んだ後, 敗血症となったが抗生剤投与で治癒せず, 体外循環下に開心抜去を施行し治癒した。術中所見で三尖弁にvegetationを認め, この症例の如く, 敗血症ばかりでなく感染性心内膜炎を呈する症例には, 電極の開心抜去が必要である。
感染の予防が大切で, ジェネレーターの埋込み, 遺残電極の断端処理の際には細心の配慮を要するとともに, 心内膜電極の感染から敗血症へ移行した症例は, 早期の, 積極的な治療が重要と考える。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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