人工臓器
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DDDペースメーカー植え込み術後の静脈の変化
小池 龍佐々木 学黒田 克彦
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1989 年 18 巻 2 号 p. 858-861

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抄録
DDDペースメーカー植え込み静脈の変化を検討する目的で、術後平均12ケ月後に21例の静脈造影を行った。鎖骨下静脈に陰影欠損や側副血行を認めない正常例は8例(38%)のみで、陰影欠損を7例(33%)に、陰影欠損と側副血行の両者を6例(29%)に認めた。血栓を示唆する陰影欠損は鎖骨下・内頸静脈合流部に好発し、同部はコントロール50例の検討でも10例(20%)に狭窄を認めた。以上からDDDペーシング患者では無症状の場合といえども、比較的高率に植え込みリードに起因する静脈の変化を来していることが判明した。また我々は、経静脈ペーシング(AAI、VVI、DDD)総数137例中、2例のDDD患者に鎖骨下静脈完全閉塞を経験した。DDDペースメーカー植え込み時には、リードの愛護的操作(特に鎖骨下・内頸静脈合流部通過時)が要求され、また術後の抗凝固療法を徹底させるなど、静脈血栓症の予防に留意すべきである。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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