抄録
人工肺の長期間評価を目的として、右心補助人工心臓(RVAD)システムを用いた性能検定のための慢性動物実験モデルを作成し、これを用いて実際の長期間検定を施行した。成山羊3頭を用い、右心房―肺動脈間にRVADを装着し、約2週間の安定期間をおいた後、送血コンデュイットに評価目的の人工肺を挿入、装着した。検定中は抗凝血療法を施行したが、局所出血等の実験動物に起因する合併症を認めることなく、6個の人工肺に対して11~191時間(平均88.7時間)の長期間検定を施行し得た。拍動流であるVADシステム使用下で、最高バイパス血流量2~4L/minを得ることが可能で、人工肺ガス流出側の酸素および炭酸ガス濃度の持続的分析により、容易に人工肺ガス交換能の経時的推移を評価することができた。また、他の評価因子に関しても安定して検定し得た。本検定方法は再現性、安定性に優れ、長期間使用人工肺の総合的評価方法として極めて有用な手段になり得るものと考えられた。