膜蒸留法は疎水性多孔質膜を用いた相変化を伴う新しい分離技術である。我々は膜蒸留法による血液からの除水について研究を進めてきた。膜面近傍における分極層の発達は蒸気圧差の低下につながり、膜蒸留法においては蒸気圧差を駆動力とするために、特に粘度の大きい血液系においては透過流束に対して阻害因子となる。本法では、PTFE膜を用いた膜蒸留法で、エチレングリコール水溶液、牛血液からの除水実験を行い、温度分極層および濃度分極層の解析を試みた。エチレングリコール水溶液―水系実験において膜面濃度解析に限外濾過理論の導入が有効であることが示された。膜面濃度は流動状態と蒸気圧差に依存することが示された。牛血液―水系実験において膜面濃度を求めた。エチレングリコール水溶液系の透過抵抗と蒸気圧降下の関係より血液の蒸気圧降下を求めた。