1990 年 19 巻 1 号 p. 17-20
ブタに両心不全を作成し, BVADを駆動させ, 左右のポンプ流量の比から1群(R:L=1:≤0.5), II群(R:L=1:0.5<≤1), III群(R:L=1:1<)に分け, 駆動後3時間まで血行動態的パラメーターを測定し, ポンプ流量比から見たBVADの至適駆動方法について検討した。
I群では, 左室前負荷過剰となり左心不全を増強し, BVAD駆動後も全身循環の維持は困難であった。一方, III群では左室前負荷は軽減し, 左室の収縮性は上昇し, 心不全からの離脱も可能であり, BVAD駆動中, 全身循環は維持され優れた補助効果を示した。
また, ポンプ駆動後3時間のPCWPとCVPの比(PCWP/CVP)は, I, II群に比しIII群で有意に低値を示した。このことよりBVADの左右のポンプ流量を制御する指標として, PCWPとCVPの比は有用であると思われた。