1990 年 19 巻 1 号 p. 205-208
当院ICUでは遠心ポンプと閉鎖回路を組み合わせた補助循環, ECMOを最近1年間で4例に施行した。2例は肺炎, ARDSに対し, 呼吸補助を主目的とし, V-V方式で行った。この2例では経皮的カニューレを使用したので, カニューレ挿入部からの出血もなく, かつ十分な流量(3L/min)が得られた。他の2例は開心術後の症例で循環補助を目的として, 1例は左心バイパス+V-Aバイパス, 他方はV-Aバイパスを行い, 前者を救命することができた。人工肺は主としてシリコンホローファイバー膜型肺を用い, 抗凝固療法にはヘパリン, FOY, プサンを併用してACTを300~400sec程度に維持した。施行期間は3~7日間であったが, 回路のtroubleはなく, 安全に行うことが可能であった。また経皮的カニューレ, V-V方式の2例は, 術後早期のV-A方式の2例に比べ輸血必要量が有意に少なかった。