人工臓器
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Bio-pumpを使用した左心バイパス
―胸部大動脈瘤手術例における検討
村田 升山本 登森保 幸治村上 厚文斎田 清彦横川 秀男舟波 誠高場 利博
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1990 年 19 巻 1 号 p. 209-213

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抄録

Bio-pumpを用いた左心バイパスを補助手段として胸部大動脈瘤7症例に手術を行った。症例の内訳は男性5例, 女性2例で年齢は43~75歳(平均58.6歳)。真性胸部下行大動脈瘤4例, IIIb型解離性大動脈瘤3例であった。手術は人工血管置換と, 解離性大動脈瘤にはIvaron Sponge Occulusion法を追加した。破裂例はなく全例待機手術例であった。大動脈遮断前に少量のヘパリンを投与し, ACTを200秒前後を保つようにヘパリンを追加した。回収式自己血輸血法を併用した。大動脈遮断時間97.7±40.0分, バイパス時間105.9±36.2分, バイパス流量は1.4~3.3L/minであった。自己血輸血に夜と思われる凝固線溶系の活性化を認めたが, 臨床的には問題は生じなかった。死亡例はなく急性腎不全, 不全対麻痺が其々1例ずつ生じたが本法に起因するものではなかった。また, 1例は全経過を通じて同種血輸血を必要としなかった。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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