1990 年 19 巻 1 号 p. 214-217
われわれは, 遠心ポンプ(Bio-pump)による補助循環の実験的研究にもとずき, これまでに5例の開心術後の重症心不全患者に対し左心補助を行った。対象の5例はいずれも体外循環からの離脱困難例で, 内3例はCABG施行後, 他の2例は弁膜疾患であった。方法は, 送脱血カニューレは日本ゼオン社製のものを用い左房脱血―上行大動脈送血で行い, 全例左心補助開始前からIABPを挿入し補助循環中も併用した。補助循環開始と共に全例体外循環からの離脱は容易で, 補助循環中の血行動態を安定させることができた。
本法の問題点は, ポンプヘッドの抗血栓性に問題があり, 血栓形成を予防するためにはポンプヘッドを24時間毎に交換し, 血液凝固能検査でFPAが10ng/ml以上になった時は抗凝血薬剤の投与が必要である。