1990 年 19 巻 1 号 p. 253-256
左心補助人工心臓(LVAD)の新しい駆動方法として、収縮期駆動法に拡張期IABPを併用し、その有用性を検討した。雑種成犬9頭に対し、空気圧駆動型LVADにて左房脱血、上行大動脈送血の左心補助を行い、駆動時相及びIABP併用の有無で、(1)拡張期駆動(Diastolic Driving, D群)、(2)収縮期駆動(Systolic Driving, S群)、(3)収縮期駆動+拡張期IABP(Systolic Driving+IABP, SI群)の3群に分け順不同で駆動した。S群・SI群でD群に比し補助流量は共に有意に増加し、左室仕事量は有意に低下した。左室駆出開始時の大動脈圧は、D群>S群>SI群の順で有意に高かった。左室最高圧はSI群で有意に低かった。左回旋枝冠動脈血流量の拡張期成分比率は、S群でD群に比し有意に低下したが、SI群はD群と有意差はなかった。収縮期駆動法にIABPを併用することにより、補助流量の増加に加え、有効なSystolic unloading効果とDiastolic augmentation効果が得られ、その左心補助効果はさらに高まった。したがって本法は左心補助人工心臓の駆動法として、不全心の回復効果を高める上で有用であると考える。