1990 年 19 巻 1 号 p. 261-264
重症な左心不全に対し簡易的に大動脈内バルーンパンピング(IABP)と左心バイパスを行なうのを目的とし、カテーテル内腔を通して先端から送血、流量補助可能な新しいdouble lumen balloon catheterを作製し左心不全犬に対してその治療効果を検討した。
血行動態的には血圧、心拍出量ともに良好な改善を見ることができ、心電図上でも坑不整脈作用が確認され、この補助循環の有効性が確認された。
しかし、CPKの上昇よりdouble lumen balloon catheter挿入部末梢組織の阻血の影響が疑われた。また補助循環開始後より遊離ヘモグロビンの著明な上昇が認められており、送血回路内部圧の高さに起因していると思われた。血行動態的には良好な結果が出ており、catheterの素材及び形態の改善にて有用な補助循環として臨床応用が期待できると思われる。