人工臓器
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人工血管の新たな動向
―当科における人工血管の選択について―
内田 發三臼井 由行寺本 滋
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1990 年 19 巻 3 号 p. 1069-1073

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抄録

我々の施設では、従来よりporosityが高いほど良好に器質化するというWesolowskiの理論に基づき、血行再建にはporousなDacron人工血管を使用してきた。すなわち、胸部大動脈の再建にはporosityが300ml以下のwoven Dacron人工血管を、腹部大動脈以下の末梢動脈にはporosityが2000~3000mlのweft-knit Dacron人工血管を用いてきた。これらの成績は概ね良好であった。様々な動物実験や臨床データから、当科でも人工血管の選択について、新しい動きがみられる。すなわち、胸部・腹部大動脈には従来のwovenやknitted Dacron人工血管にアルブミン・オートクレイブ法やフィブリン糊でpreclottingを行って使用し、腹部大動脈や腸骨動脈にはexternal velour warp-knit Dacron人工血管を使用し始めている。また、大腿動脈以下の末梢動脈の再建にはexternally supported Dacron人工血管の使用も試みつつある。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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