市販されている小口径人工血管は反省期にあり、さらに最良のものとされている自家静脈も晩期閉塞が多く、検討が加えられているのが現状である。そこで長期の良好な開存を示す小口径人工血管の開発が望まれる。
我々は生体との親和性を重視して人工血管を作成してきた。それは自己のコラーゲンを多く含み、血管壁再構築に必要な細血管をも豊富に有するように超極細ポリエステル繊維を骨格として使用した結合織管である。この人工血管の特徴はangiogenesisがin vivoで容易に形成され、治癒そのものが非常に早いことにある。しかし移植当初は抗血栓性がないため、移植早期にのみ抗血栓性を賦与する方法を考案して、我々は小口径結合織人工血管を開発した。このような生体の動向を、あるいは治癒を引き出すような人工物がこれかちの人工血管の材料となると思われる。