抄録
セルロース膜表面にpolyethylene glycol(PEG)鎖をgraftしたnew modified cellulose membrane(New MC)の血液膜間相互作用に及ぼす効果を臨床的に検討した。hollow fiber 1g当り180, 100, 60μgのPEGをgraftした透析器New MC-1, 2, 3と従来のセルロース膜透析器(OC)を用い, crossover試験を行ったところ, New MCではOCに比し補体活性化, 白血球・血小板減少, 血小板放出因子, G-elastaseの上昇が有意に抑制された。透析後の膜への蛋白吸着はPEGのgraft量に逆相関して減少, 血球付着もLDH量, 走査電顕所見ともNew MCで低下した。最低ヘパリン必要量(MD)はOCで2000±794, New MCで667±207U/HDと減少, OCのMD下で透析中のthrombin-antithrombin III complex(TAT)上昇はNew MCで軽度であった。New MC透析器はPEG鎖の形成する散漫層により血液膜間相互作用が抑制され, 生体適合性に優れ, ヘパリン必要量が少ないなどの臨床的特徴を持つといえる。