人工臓器
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各種改質セルロース膜の生体適合性の臨床的検討
坂下 恵一郎筒井 敏彦山本 尚哉伊藤 晃山崎 親雄増子 和郎渡辺 有三
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1991 年 20 巻 1 号 p. 85-90

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抄録
3種の改質セルロース膜-ヘモファン(HE)膜, BT膜およびPC膜の生体適合性を臨床的に検討した。白血球は, HD前を100とした場合, 15分でHE52±15, BT70±17, PC72±6, 30分でHE61±10, BT75±9, PC73±7であった。血小板は, HD15~60分で3膜とも10%以内の変動であった。HD15分でのA側C3aの平均値は, HE4573, BT694, PC660ng/mlであり, C3a産生量(V-A)は, HE2795±1052, BT1313±894, PC614±344ng/mlと, HEが最も強い補体活性化作用を示した。顆粒球エラスターゼは, 3膜とも透析中有意に上昇するが, 透析前後比で, BT3.2±0.4, HE2.2±0.3, PC1.5±0.2と3膜間で有意差を認めた。β-TGも透析後に有意な上昇(16~19%)を示したが, 膜間での差異はなかった。また, 15分のAV差も1~3%と小さく, PF-4の成績と併せてみると3膜とも血小板活性化作用は同程度と思われた。
以上より, 3膜のうちPCが最も生体適合性に優れていると思われた。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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