人工臓器
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ABO血液型不適合者間腎移植に対する免疫吸着処置
阿岸 鉄三高橋 公太高橋 和雄太田 和夫安部 道夫
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1991 年 20 巻 2 号 p. 318-323

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抄録
腎移植の適応拡大を目指し、従来は禁忌とされていたABO血液型不適合者間での移植を行うため、体外循環を応用した免疫吸着により予定された受腎者の血漿中から抗A抗体・抗B抗体を除去した。吸着材は、シリカビーズに合成したA型抗原、またはB型抗原を表現する三糖類を共有結合により固定化したものである。実際には、13例の患者に、術前に1回の二重濾過血漿分離交換法と4回の免疫吸着を行い、それぞれの抗体価を4X以下とすることが可能であった。1回の免疫吸着による抗A抗体の平均除去率は、IgG:49.0%、IgM:57.9%であり、抗B抗体ではIgG:78.6%、IgM:74.8%であった。
術後2-11カ月の観察中、比較的短期間での抗体価の急激な上昇を見て、腎機能が廃絶したのは、1例のみであった。ほかの12例では、拒絶反応は起こったものの血液透析の再導入には至らなかった。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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