抄録
吸収性縫合糸polydioxanon(PDS)糸をEPTFE人工血管のイヌ腹部大動脈移植に用い, 吻合部の治癒状況を検討した。対照にはpolypropylene(PP)糸を用いた。PDS使用吻合部では, 移植後5カ月より縫合糸による宿主縫い代部の圧迫所見である硝子様変性組織が消失し始め, 8カ月で完全に消失した。しかしEPTFEの縫い代部の圧迫像は2年でも消失しなかった。しかしこの圧迫されたEPTFEの縫い代部pore内への宿主側からの組織侵入は硝子様変性組織の消退した6カ月より始まり, 10カ月で縫い代の表面全長にわたり完了した。最長2年の観察で吻合部動脈瘤の発生もなく, 吻合部引張り強度試験でもPP使用吻合部との差はなかった。吸収性縫合糸のEPTFE人工血管吻合への使用は, 吻合部の組織治癒において非吸収性縫合糸使用より勝るものであった。