抄録
奈良県北部に分布する中新統石仏凝灰岩層は,室生火砕流堆積物の非溶結部とその再堆積物からなる.この再堆積性火砕堆積物はその堆積相から,下位よりユニットAからCに区分することができる.ユニットAは火砕流堆積物上の凹地を流下した土石流堆積物や粒子濃集流堆積物から構成される.ユニットBは均質~細かい葉理をもつシルト質~細粒凝灰岩からなり,停滞水域での堆積作用を示すと考えられる.ユニットCは全体として上方粗粒化・厚層化する土石流堆積物と水流作用による凝灰岩の互層からなる.この堆積相の変化は,斜面崩壊が卓越する環境から停滞水域へ,そして再び斜面崩壊が頻発する場へと変化したことを物語っている.これの過程は火砕流堆積物上における侵食・崩壊や埋積過程をよく保存しているといえる.