人工臓器
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ゼラチン処理人工血管の臨床応用とその遠隔成績
安達 秀雄横手 祐二許 俊鋭木村 壮介尾本 良三高本 真一
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1991 年 20 巻 2 号 p. 544-549

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抄録
新しいゼラチン処理人工血管(ゼルシール)を32症例の血管手術に使用した。ゼルシールは取扱いが容易で縫合針の通過性が良く、縫合し易い人工血管と考えられた。吻合部からの有意な出血は認められず、ヘパリン使用例26例を含む全例において人工血管からの出血も認められなかった。末梢血行障害のため術直後にウロキナーゼを併用した2症例でも同様で、術直後の血栓溶解剤の投与も可能であると考えられた。手術直後の開存性は良好で、手術成績はほぼ満足すべき結果であった。術後1年から2年10ヶ月間にわたる経過観察では4例の死亡を認めたが、いずれも他病死であり、死因と人工血管との因果関係は認められなかった。長期の開存性は良好と考えられ、安全性についても問題を認めなかった。プレクロッティング不要な人工血管ゼルシールは血管手術の際に有用と考えられる。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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