人工臓器
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呼吸器外科領域における人工血管を用いた拡大手術における問題点の検討
湯浅 幸吉白川 尚哉土島 秀次清水 健
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1991 年 20 巻 2 号 p. 550-554

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抄録
胸郭内動静脈に浸潤した悪憐腫瘍に対し, 腫瘍の完全摘出と血管系の再建を行った。対象は肺癌4例と縦隔腫瘍4例である。血行再建にはexpanded polytetrafluoroethylene(ePTFE)人工血管を用いた。動脈の再建は6mmの人工血管を用いて2例に行った。静脈の再建は6-16mmの人工血管を用いて5例に行い, そのほか内シャント法を用いた人工血管パッチ形成, 心膜パッチ形成を各1例に行った。3例を術中の大量出血から多臓器不全となり失った。ほか2例は癌死, 1例は突然死した。残りの2例は6カ月から4年7ヵ月の現在生存している。
必ずしも良好な結果ではないが胸郭内動静脈に浸潤をしめす悪性疾患があっても人工血管を用いた血行再建による拡大手術を行うことにより延命効果が得られた症例があった。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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