人工臓器
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クラレ膜型人工肺"KMO"とを用いた乳児ECMOの1例
道井 洋吏笹子 佳門巽 英介公文 啓二西垣 恭一山本 文雄岸本 英文高野 久輝藤田 毅
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1991 年 20 巻 3 号 p. 1114-1117

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抄録

生後11ケ月、体重6300gの女児で、Jatene手術後の肺炎に起因する重篤な呼吸障害に対し、ECMOを施行した。用いた人工肺は、血液接触面に薄い均質層を有する特殊微小孔膜を使用した、クラレ社製小型膜型人工肺“KMO”で, Biopumpを組み合わせた閉鎖回路にて行った。連続使用7日目の測定で、FiO2=1.0でV/Q=10のとき、酸素透過量(VO2)は血流量400ml/minで64ml/min, 850ml/minで95ml/minと増加した。炭酸ガス透過量(VCO2)は、400mL/minから850ml/minの間で平均39mL/minと変化しなかった。膜の特性により、酸素透過量に比し低値であったが、呼吸補助として用いる範囲の流量では、十分な機能を示した。また、圧損は血流量850ml/minで11mmHg、400ml/minで5mmHgであり、極めて少なかった。人工肺の充填量は45ml, システム全体で170mlと極めてcompactにすることができた。以上よりKMO膜型肺はECMOに適する人工肺と考えられ、長期使用の可能性も示唆された。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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