人工臓器
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ECMOによる重症新生児の呼吸循環補助
長屋 昌宏津田 峰行
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1991 年 20 巻 3 号 p. 1118-1123

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抄録

生後1週間以内の新生児の呼吸循環不全に対するECMOの効果を検討したので報告した。ECMOの方法は頸動静脈を用いた静脈-動脈方式である。人工肺は国産のメラシロックスSを用いた。ECMO中はACTが200-250秒になるようにヘパリンを投与し, 血小板は10×104/mm3を下回らないように補充した。また, volume overloadになった例では静脈路にバイパス回路を設置し, hemofilterを介して除水させた。
結果:1990年1月迄に19例に利用した。疾患の内訳は横隔膜ヘルニアが10例と多く, 他に胃破裂の2例, 胎便吸引症候群と敗血症の各2例などがあった。生下時体重は平均3.01kgであり, ECMOの開始時期は平均生後82.7時間であった。ECMO時間は平均96.1時間であった。除水は5例で行われた。その結果, 19例中13例を救命できた。これらの例が既存の方法では救命が困難と思われた症例ばかりであったことを考慮したとき, その威力を実感できた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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