麻疹肺炎により重症呼吸不全と意識障害を呈した1才の幼児に38日間の長期の体外式肺補助(Extracorporeal Lung Assist, ECLA)を行った。ECLAの間に長期体外循環管理、患者呼吸管理、及び治療上の多くの問題を経験した。VVからVA方式にバイパス方式を変更した。出血の増大にはヘパリンをnafamost at mesilate(FUT)にかえ血液凝固時間を短縮した。ECLA回路の閉塞による溶血はハプトグロビンにより治療した。人工肺や回路内の血栓形成、回路チューブの亀裂などのためそのつど回路を交換し、合計6基の人工肺を使用した。一方肺炎に対し、数々の内科的療法や理学療法を試みた。右胸腔内にできた血塊のため脱血不良でECLAによるガス交換補助ができなくなり患者の意識が低下し、すべての治療も無効と判断されたので39日目にECLAを中止した。本症例は救命にいたらなかったが、生命維持法としてのECLAの有効性を示すものである。