1991 年 20 巻 3 号 p. 1129-1133
乳児の呼吸不全患者を対象としたECMO(Extra Corporeal Membrane Oxygenation)は、その救命率も高く注目されている。我々は、小型で血液充填容量も少なく低侵襲で安全かつ簡便にECMOが行えるtoand fro方式のシステムの開発を行った。システムは、マイクロコンピュータにて送脱血量及び速度が設定されるため脱血時の陰圧も少なく、溶血は6時間で4mg/dlと軽微であった。動物実験では、ECMO、ECCO2R(Extra Corporeal CO2Removal)に試用し25~30ml/min/kgの血流量にてECMOでは全例15分にて正常値となり、ECCO2Rでは40.4±8.6ml/minのCO2移動量にて良好な呼吸補助が可能であった。また、血液抗凝固剤にはフサンRを用い血液回路内では160~180secのACT(Activated Coagulation Time)値を保つ一方、体内では120~130secを維持し出血を抑えることが可能であった。システムは、過度の陰圧にて停止・再始動をする安全機能も備え、安全な呼吸補助を行うことが可能であった。