人工臓器
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重症冠動脈疾患に対する人工心肺下PTCA
―人工心肺用経皮的送脱血カニューレとポータブル型人工心肺装置の開発―
古賀 伸彦樗木 等須田 久雄大坪 諭馬場 俊也西村 正佐々木 弘州伊藤 翼
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1991 年 20 巻 5 号 p. 1425-1433

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抄録

重症冠疾患の待機的PTCA(経皮的冠動脈形成術)の循環補助として, また, 重篤な心原性ショックや急性心停止の救命手段として, 迅速かつ簡便に用いることのできる人工心肺用送脱血経皮カニューレを開発した. また, このカニューレとポータブル型人工心肺装置を組み合わせて7例の臨床応用を試みた. 通常の開心術に用いる従来の人工心肺装置システムを用いてPTCAを行った4例を加えて検討した. 経皮的脱血カニューレ(22-16Fr径, 48cm長)は大腿静脈より右房まで挿入し, 右房部位に径3mmの側孔25個を有す. 経皮的送血カニューレ(18-14Fr径, 11cm長)は先孔型である. 18Fr径の脱血カニューレでは3.2~3.5l/分の血流が得られた. 不安定狭心症(UA)5例, 急性心筋梗塞6例(AMI)の計11症例において, PTCAを施行し, 全例とも責任冠動脈の拡張に成功した. 左主幹部病変2例を含むUAの5例のうち4例は症状軽快し退院できた. しかしショックや心停止のAMIの6例では, 全例において, 人工心肺施行中には一時的に明らかな症状の改善が得られ, 3例は人工心肺の離脱に成功したが, 救命には至らなかった.

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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