人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
遠心ポンプを用いた補助循環システムの有用性と問題点
西村 元延中埜 粛金香 充範宮本 裕治門場 啓司高野 弘志雨宮 彰張 釖嶂松田 暉
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 21 巻 1 号 p. 142-146

詳細
抄録
遠心ポンプを用いたECMOを含む各種補助循環症例28例をもとに、補助循環の駆動装置としての遠心ポンプの有用性と問題点について検討した。施行した補助循環法の内訳は心室補助16例、リザーバー無しの閉鎖回路による静-動脈バイパス9例、ECMO 3例であった。成績は心室補助例で離脱率75%、生存率38%、静-動脈バイパス例で離脱率22%、生存率22%、ECMO例で離脱率66%、生存率66%であり、心室補助例、ECMO例においては良好であったが、静-動脈バイパス例においては不良であった。補助循環中の合併症について検討すると、静-動脈バイパス例では他の補助方法に比し再開胸止血術を施行してもなお持続的出血を呈する症例が多く、成績不良の一因と考えられた。血栓塞栓症を心室補助16例中4例に、また遠心ポンプ交換後56時間目の1例にポンプのハウジング部からの血液リークを認めた。耐久性や抗血栓性に問題を残すものの、遠心ポンプは簡便であり補助循環の駆動装置として有用であった。
著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top