抄録
1981年1月1日より1990年12月31日までの10年間に経験した血液浄化法施行薬物中毒患者82例を対象として薬物中毒に対する血液浄化法の有用性につき検討を加えると共に、5例のCDDP療法施行悪性腫瘍合併透析患者および、1例のメルファラン大量療法施行悪性黒色腫に血液浄化法を行い、その有用性につき検討し以下の結果を得た。
1)急性薬物中毒に対する血液浄化法は意識、呼吸、血圧などのバイタルサインの改善に有効であった。
2)農薬中毒に対する活性炭吸着療法(以下DHPと略す)は血漿農薬濃度の低下、バイタルサインの改善に有効であった。
3)パラコート中毒に対するゴリテリー,ケイキサレートおよびマグコロールによる持続的腸洗浄および、血漿交換(以下PEと略す)に続く持続的DHPは救命率の改善をもたらした。
4)抗悪性腫瘍剤治療施行患者への血液浄化法の応用は副作用防止に有効であった。