人工臓器
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各種血液浄化法における病因物質除去原理の基礎
金森 敏幸酒井 清孝
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1992 年 21 巻 1 号 p. 77-82

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抄録

現在実用化されている血液浄化技術は多岐に渡るが、これらを化学工学の立場で捉えると、ほとんどが分離精製技術の範疇に入る。分離精製技術は不均一系に適用される機械的分離操作と、均一系に適用される輸送的分離操作及び拡散的分離操作に分類される。血漿に溶解した溶質を除去する場合、輸送的分離操作である限外濾過あるいは拡散的分離操作である透析または吸着が用いられる。限外濾過、透析では分子直径と細孔形状で溶質除去性能が決まるため、選択性や鋭い分画特性を発現せしめることは難しい。一方、吸着では分子直径と細孔形状に加え、吸着材表面での吸・脱着特性によって分離特性が決まるため、優れた選択性を付与することができる。血液浄化法では、これらの原理を単一で用いることは少なく、分離特性は用いる原理の組み合わせによって決定される。
今後の血液浄化法では、分離媒体とのaffinityを利用した高選択性の実現が望まれる。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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