人工臓器
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無輸血開心術達成に影響を及ぼす因子
―とくに術前貯血の意義について―
小野 隆志岩谷 文夫猪狩 次雄萩原 賢一丹治 雅博佐戸川 弘之渡辺 正明緑川 博文佐藤 洋一高瀬 信弥津田 晃洋星野 俊一
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1992 年 21 巻 2 号 p. 706-710

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抄録
無輸血開心術達成のために重要と思われる因子について検討した。1987年6月以降術前自己血採血に“蛙跳び法”を採用し無血充填体外循環を行った88例中、無輸血開心術を達成しえたのは43例48.9%であった。術前貯血量、術前Hct、体外循環中最低Hct、体外循環時間、術中出血量、術後出血量の各因子中、無輸血群と他群間に有意差を認めたものは、術前貯血量と体外循環時間、術後出血量であった。88例を前後期群に分け比較すると、無輸血開心術達成率は35.6%から75.9%まで上昇した。両群における年齢、体重、術前貯血量、体外循環時間、出血量について検討したところ、術前貯血量のみが有意差を持って上昇しており、術前貯血の重要性を再認識した。単位体重当りの術前貯血量は前期群で12.4ml、後期群で18.4ml、また、無輸血群で17.4ml、輸血群で12.4mlであった。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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