人工臓器
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開心術後ドレーン血返血のためのchestdrainageunitの試作と臨床使用経験
岡本 浩松浦 昭雄阿部 稔雄星野 元昭朝倉 貞二小川 裕関 章西島 護
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1992 年 21 巻 2 号 p. 711-716

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抄録
開心術後のドレーン血返血のために集血ボトルを従来のchest drainage unitと一体化させたauto-transfusion system(ATS)を試作した。5例のCABG症例(以下A群)に用い, 術前, ICU帰室時, 返血前後, 術後第2,7,14日における血液生化学, 血清ヘモグロビン量の推移を調べた。また最近1年間に行なった開心術29例をハードシェルリザーバーと輸血ポンプで返血した14例(以下B群)と返血(-)15例(以下C群)に分け, 総輸血量, 無輸血率について比較した。A群のドレーン血は血清Hb量678mg/dl, 血清フィブリノーゲン値16mg/dlで, 細菌培養はすべて陰性であった。返血による溶血尿, 臓器障害な認めなかった。返血量はA群が平均430ml, B群692mlで, 総輸血量(1u: 200ml)はA群2u, B群2.4u, C群6u(p<0.01), 無輸血率はA群3/5(60%), B群7/14(50%), C群0/15(0%)(p<0.01)であった。我々の考案したドレーン血返血用chest drainage unitは平均で約2uの同種血輸血の節減を可能にした。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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