抄録
低酸素症のため一側肺換気単独では管理困難であった47才男性重症肺胞蛋白症の気管支肺大量洗浄にECMOを応用して、良好な結果を得た。Medikit catheter 22Fを右大腿静脈から右房へ、14Fを右内頸静脈から上大静脈へ刺入し、DelphinTM centrifugal system・クラレ膜型肺Menox2個並列によるRA→SVCのECMO(v-v ECMO)下に総量10950mlの温生食で右気管支肺洗浄を21回繰返した。ECMOの灌流量3.1L/min、酸素吹送量3~4L/minで、還流時間225分中安定した管理が可能であった。洗浄後長期間ECMOを要する症例(温水、degas、洗浄操作に起因した呼吸障害増悪例)もあるが、本例は洗浄後呼吸機能が改善し、洗浄直後にECMOより離脱、翌日人工呼吸より離脱した。v-v ECMOは末梢動脈遮断も不必要で、肺胞蛋白症の肺洗浄に際し、安定した呼吸補助が可能であった。循環不全を伴わない呼吸不全で、自己肺機能が一部期待できる場合は、v-v ECMOの良い適応であると考えられた。