抄録
教室で経験した下行胸部大動脈瘤、胸腹部大動脈瘤、DeBakey III型解離性胸部大動脈瘤において補助手段として、一時的体外バイパス(TEMP)、遠心ポンプ(LAB)を用いてきた。今回、TEMP21例、LAB10例について比較検討した。TEMPは開設期より1988年3月まで用いており、それ以降はLABを補助手段として用いている。LABは手術時平均年齢がTEMPより高齢であった。またLABでは術中出血量がTEMPより有意に少なかった。LABでは灌流量を高流量に維持しているため、大動脈遮断中の末梢灌流圧をTEMPより高く維持することができ、分時尿量も多い傾向にあった。以上よりLABでは主要分枝の灌流も安全に行えかつ容易であり、分枝の再建も安心して行えるため有効な補助手段である。