人工臓器
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抗血栓性緩徐除水システム(ACUS)設計のために開発したPAN-PEO中空糸膜の抗血栓性
寺田 良蔵菅谷 博之田中 和美酒井 良忠三永 昌弘國友 哲之輔武山 高之青池 郁夫鈴木 靖長尾 政之助下条 文武荒川 正昭鈴木 正司平沢 由平
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1992 年 21 巻 3 号 p. 1002-1006

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抄録

術後急性腎不全など、出血傾向のある患者に対する抗凝固薬を用いないCAVHシステムを作製すべく, 抗血栓性PAN-PEO中空糸膜と、ヘパリン化材料を用いたパーツ(ヘッダー、回路、カテーテル)とから成る抗血栓性緩徐除水システム(Antithrombogenic Continuous Ultrafiltration System:ACUS)を開発した。ACUSの全内表面積の約9割を占める中空糸膜の抗血栓性は、内表面に高濃度で凝集したPEOの存在と500Å以下の粒子サイズを持っミクロ相分離構造とにより実現したものと考えられる。24例の患者に36本のフィルターが抗凝固薬を全く投与しない状態で使用され、平均32時間の持続濾過が可能であった。補体などの生体適合性に関する指標もほとんど変化せず、持続治療に適したシステムであると考えられる。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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