1992 年 21 巻 3 号 p. 1031-1034
ポリマーアロイは成型条件によって高次構造を変化させられるという特徴を持つ。ポリマーアロイを透析膜に用いる意義は、透水性能、細孔半径及びその分布、ひいては分画特性の制御を任意に行なえる点にある。本研究では、polyarylateとpolyethersulfonとをブレンドしたポリエステル系ポリマーアロイ膜について、反撥係数による分画特性を測定し、溶質透過能を評価した。測定には、すでに臨床で用いられている透析器のFLX-12GWと、製膜時における凝固速度を変えた3つの膜からなる試作透析器を用いた。その結果、FLX-12GWは分子量10,000から50,000で反撥係数の変化が見られ、β2-microglobulinなど低分子量タンパク質の除去に優れていると考えられた。また、ポリエステル系ポリマーアロイ膜の製膜時における凝固速度を遅くすると、反撥係数は小さくなった。