抄録
ポリビニルアルコール(以下PVAと略)水溶液の新しいゲル化法を開発した。この方法では化学試薬や放射線照射装置などは用いず凍結解凍を繰り返すことにより作製でき, PVAと水以外のものは含まれていない。さらに水分量が80~90wt%とすることができ, このような高含水性であるにもかかわらず, ゴム状弾性を有し機械的強度にすぐれている。高含水性を有し弾性体である生体組織に類似している。以前よりこのPVA Hydrogelを生体内に埋植しinertであり生体組織との癒着がみられないことから, 医用材料としての検討を加えてきた. 特に癒着防止膜としての応用を考え実験を重ねてきた。今回は25ヵ月間の長期にわたり, 成犬の心膜欠損部に縫着し実験をおこなった。その結果, 周囲の心外膜や肺組織との癒着はみとめられず, また周囲組織に炎症反応, 異物反応などはみられなかった。
生体内埋植用の医用材料として, 特に癒着防止膜として有用であり, 臨床応用可能であると考えられた。