人工臓器
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透析膜素材と抗凝固剤の凝固因子に及ぼす影響
宮崎 哲夫内藤 秀宗長坂 肇
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1992 年 21 巻 3 号 p. 825-829

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抄録

透析膜素材や抗凝固剤の相違による血液透析中の凝固因子、血小板因子の動態について検索した。使用した抗凝固剤は、ヘパリン、低分子量ヘパリン(LMWH), nafamostat mesilate(NM)の3薬剤。膜素材はCuprophan、EVAL、PMMA、Hernophanの4膜で、EVAL膜では抗凝固剤を使用しない無抗凝固剤透析と抗凝固剤との比較を行い検討した。ヘパリンは第XII、XI因子の活性を軽度抑制し、逆にLMWHはヘパリンに比べ第VIII因子の活性を抑えた。NMは固相活性化反応および第VIII因子の活性を抑制し、両ヘパリンに比較して血小板活性を明らかに抑制した。膜素材間の比較では、第III因子、抗Xa活性、血小板第4因子活性が、ヘパリン、LMWH使用時に異なりが観察された。臨床使用では、ヘパリンとLMWHを使用した透析で、Hemophanの薬剤吸着、PMMAの高い血小板因子活性が得られ、抗凝固剤は各々の膜素材の特性を知った上で使用すべきである。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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