1992 年 21 巻 3 号 p. 861-866
中空糸透析膜の溶質透過係数は、Wilson-Plot法、Klein法、RI法および吸光法により測定される。しかし、同一の膜について各測定法により得られる溶質透過係数は大きく異なり、それらの信頼性は明らかではない。本研究では、各測定法の差異とそれらより得られた溶質透過係数の真の溶質透過係数としての妥当性を検討した。中空糸透析膜の真の溶質透過係数は、吸光法により測定されることがわかった。透析膜の膜構造および溶質の膜透過機構の解明には、吸光法により測定された溶質透過係数を用いるのが最も適当である。さらに測定された真の溶質透過係数を用いて、各種HP透析膜の膜構造と溶質透過性の関係について検討した。分子量6,000以上の高分予量物質については、AM-EP膜よりもPAN-DX膜の拡散除去能の方が大きかった。逆に、分子量6,000以下の物質については、AM-EP膜の拡散除去能の方が大きかった。