抄録
EPOの臨床効果に及ぼす透析膜の影響について検討を行った。通常のキュプロファン膜使用群(男13名, 女13名:C群)と高性能膜使用群(男11名, 女12名: HP群)との比較では, EPO投与前のHt値(C群20.0±2.0%: HP群18.9±1.6%), EPO投与後のHt値(28.3±2.0%: 29.2±1.7%), EPO投与量(4673±2052U/週: 4304±1613U/週)および体重1kg当りのEPO投与量(104±53U:85±31U)の各指標で有意差はなかったが, ΔHt(8.3±2.7%: 10.3±2.3%)およびHt 1%上昇に要した体重1kg当りのEPO投与量(13.4±7.6U: 8.8±3.9U)に有意差を認めた。クロスオーバー試験では, HP膜変更後にHtが有意に上昇しC膜変更後は下降した。今回の検討より, HP膜はC膜に比しより少量のEPOで貧血改善効果が得られる可能性が示唆された。