人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
透析患者の骨関節痛の客観的示標としての血中ヒアルロン酸(HA)と改良型再生セルロース膜ダイアライザーの骨関節痛,HAへ及ぼす影響の検討
安藤 亮一出口 文佐栄戸村 成男信沢 正美鈴木 仁千田 佳子
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 21 巻 3 号 p. 877-882

詳細
抄録
透析患者の関節痛の原因としてアミロイド骨関節症が最も重要であるが, 適当な血中マーカーもなく, 未だ十分な治療手段がない。そこで関節痛の客観的示標としての血清ピアルロン酸濃度(HA)の有用性を検討すると共に, 改良型再生セルロース(RC) (CL-SS12W, テルモ)の臨床効果, HAに及ぼす影響について検討した。維持透析患者54例において, HAは関節痛, 手根管症候群, 手根骨骨のう胞を有する群で高値を示した。また, HAと年齢, 透析歴に有意の正の相関を認めた。次に, 関節痛を有する長期透析患者10例に従来型RC, 改良型RCを4週間ずつ使用した結果, 1例で改善を認めるのみであった。また, HAに及ぼす影響に差を認めなかった。以上より, HAは透析患者の関節痛, 特にアミロイド骨関節症の血中マーカーとして有用であることが示唆された。また, 改良型RCの関節痛軽減効果はごく限られたものであり, HAに対する効果は認められない。
著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top